有害物質を発生させない断熱材はある?
家づくりの場面では数多くの有害物質を含む素材が使用されています。一時期問題になったシックハウス症候群は、新築住宅などに入居後に耳鼻咽喉や自律神経の症状やじんましんなど多彩な症状が出る病気です。原因として多くの比重を占めているのが、建築素材や家具等から汚染物質が空気中に揮発することです。特に揮発性の高いホルムアルデヒドによる健康被害は深刻で、過敏な体質の場合シックハウス症候群をきっかけに化学物質過敏症を併発することもあるそうです。有害物質のリスクを想定しなければならない素材のひとつに断熱材があります。最近では省エネや空調効率を高める為に、壁面に断熱材を敷き詰めることが多くなっています。その危険性はどの程度のなのでしょうか。
現在高気密断熱工法は広く普及しており、ハウスメーカーもこぞって高気密断熱住宅を売りにしています。その施工で不可欠なのが断熱工法です。断熱工法のなかでも安価で施工も簡単なのが、充填断熱です。充填断熱では壁面内部のすき間にぎっしりと断熱材を吹きつけて充填していくわけですが、このときの断熱材に多く使用されているのがグラスウールというものです。グラスウールはその名前の通りガラス繊維を9割以上含んでいますが、他にもフェノール樹脂を含んでいます。ガラス繊維もフェノール樹脂も有害で、粉塵を吸い込むと喘息や気管支炎の原因となることもあります。また断熱材にかぎらず、住宅の素材にはホルムアルデヒドを含んでいます。ホルムアルデヒドは非常に揮発性が高く、常に空気中に飛散しているので、換気を心掛けないと高濃度の空気に身をさらすことにもなりかねません。
それでは、ホルムアルデヒドをはじめとした有害物質を発生させない素材の断熱材はないのでしょうか。この点で最近注目を集めているのが、サーモウールという素材です。サーモウールとは羊毛を原料にしている断熱材のことで、健康住宅や天然素材をコンセプトにしている住宅で普及が進んでいる新素材です。羊毛は有害物質を含まないため、汚染物質が揮発する恐れはありません。ホルムアルデヒドのようなシックハウス症候群のリスクを大きく低減してくれるのは、従来の断熱材にはないメリットです。加えてサーモウールは機能面でもすぐれた素材です。夏場は水分を吸着することで湿度を下げ、冬場は水分を吐きだすことで温かく快適なコンディションにするなど、断熱材としての実力も十分と言うのは魅力的です。